カサンドラ症候群からの回復の仕方はひとそれぞれです。
もっとも多いのは、残念ながら『離婚を選択』するパターン。カサンドラ症候群になってしまった原因であるASDの配偶者と物理的に離れることで、自然と回復していく人が多いようです。
一方、『ASDの配偶者を受け入れて、結婚生活を継続する』というパターンの場合。
カサンドラ症候群のジレンマは、情動的なコミュニケーションを求めているのにも関わらず、最も欲しい相手からそれが与えられないことにあります。
とはいえ相手に悪気がなく、持って生まれた障害である以上、本質的な解決は望めないでしょう。
結婚生活を継続しながらカサンドラから回復しようとするのなら、以下のように『ASD配偶者への期待を手放す』こと以外に選択肢はないように思います。
(1)通常の夫婦としての幸せの在り方を求めるのをやめる
(2)ASDの配偶者に情緒的なつながりを求めるのをやめる
(3)情緒的コミュニケーションが得られる別の居場所をみつける
そして最後に、『ASDの配偶者も歩み寄ってくれる』というパターン。カサンドラ症候群について書かれた書籍などでも良い例が紹介されています。
ただしこれはASD本人とカサンドラ側双方の忍耐度や成熟度に左右される部分がとても大きいのではないでしょうか。
ASDの人は基本的に『共感』や『夫婦単位で物事を考える』という感覚がわからないため、「配偶者が困っているのなら協力して解決しよう!」という思考回路にはなりません。
感情と行動が別なので、「それはそれ、これはこれ」という風に考えます。
したがってこのパターンのASDの配偶者からの歩み寄りというのは『パターンで覚える』ということになります。
「こんなときはこうして」というように、こちらのして欲しい反応を『覚えて』もらうのです。たとえは悪いですが、AIにインプットするように、様々なコミュニケーションパターンを根気強く教えていきます。
うまく夫婦双方に相当なエネルギーが必要になるため、これができるのは一部の人に限られるのではないでしょうか。
いずれにせよ、カサンドラ症候群からの回復はとても難しいもの。
ASDの配偶者の言い分を優先して我慢を続ける限りは、心のエネルギーは消耗する一方です。夫婦双方にとってベストな選択をみつけましょう。
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