子供時代に育まれる自尊心
自尊心は、『自分という存在を尊いものとして肯定する気持ち』です。
自己肯定感とも同じような意味合いで使われます。
よく「自尊心が高い」とか「自尊心が低い」とか言われますが、人それぞれ自尊心の持ち方に違いがあるのはなぜでしょうか?
基本的な自尊心は子供の頃に育まれます。そして自尊心を育む上で最も影響の大きな要因は、子供にとって絶対的な存在、つまり『親』です。
親からの扱い方によって子供の自尊心は大きく変わります。
周りと比較されて育ったり、ダメな子として否定され続けて育った子供は、『ダメな人間』として自分を理解します。そしてその後の経験を、その価値観に合わせて受け取っていきます。
例「怒られたのは、自分がダメな人間だからだ…!」
親から条件付きで愛されてきた子供もまた、「無条件では愛されない人間」として自分を理解するようになるため、自尊心は低くなります。
『いい子』といわれる子供の自尊心が低いことが多いのもこのため。
「いい子でいなければ愛されない」という見捨てられ不安から、周囲に求められるいい子を演じるようになるのです。
こうして子供の頃に影響力の強い存在によって作られた『低い自尊心』を持つ人は、その後の人生で起こる出来事をすべて「自尊心の低い自分」というイメージに沿って受け取ります。
「無条件では愛されない自分」というイメージをもっている人は、無条件で愛してくれる人を信じることができません。悲しいことですが、わざわざ自分から条件付きで愛してくれる人を求め、そこに自分の存在価値を見出して安心します。
自尊心の高い人
一方で自尊心が高い人は、美点も欠点も含めて「どんな状況でも自分には価値がある」と信じて生きていますから、見捨てられ不安というものがありません。
行動のモチベーションは、恐れや不安からではなく、喜びや愛に基づいているのです。
自分の欠点もまるごと受け入れているので、他人の欠点にも寛大で、相手をありのままに受け入れることができるのが特徴です。
《 自尊心を高める5つのポイント 》
1.
自分も親も、人間はみな不完全な存在だと理解する。美点も欠点もあってこそ、人間として完璧な姿。
2.
自分の価値を他人に依存するのをやめる。大人になった今、あの人に嫌われたって死ぬわけじゃない。
3.
ネガティブな人を遠ざける。自尊心が低い人は、より弱い立場の他人の自尊心を奪うことで自信を得ようとするもの。
4.
自分の本心を知り、感情をすなおに表現する。自分と向き合って「本当はどうしたいのか」の心をみつけよう。
5.
欲求に忠実に、恐れではなく本心からやりたいことをやる。自分がやりたいと決めたことをやり、小さな成功体験(内なる成長)を積み重ねる。
《 自尊心が低い人の特徴 》
1.
いちいち他人と比較する
自分で自分が価値ある人間だと思えないので、他人と比較することで自分の価値を確認しようとする。
2.
承認欲求が強い
他人から認めてもらうことでしか自分の価値を感じられないため、自分の価値を他人からの評価に依存してしまう。
3.
精神的に不安定
身の回りに起こる出来事を、自分の信じる『価値のない自分』に合わせて理解するので、いつもストレスフル。他人と比較して嫉妬と優越感を行ったり来たり…気が休まらない。
4.
他人の考えに流されやすい
自分を重要だと思えないので、自分がどうしたいかがよくわからない。自分の意見を価値ないものとみなし、判断を他人に依存している。
5.
人間関係が苦手
自分を大切にできないので、他人からも大切にされにくい。無条件で愛してくれる人を拒否し、条件つきの愛を本物と勘違いしやすい。
6.
欠点を指摘されることに弱い
自分自身を価値ある存在と思えないため、良い部分も認められない。欠点を指摘されると自分という存在を全否定されたような気分になり、過剰反応してしまう。
7.
尊大になりやすい
自信のなさから、必要以上に尊大にふるまう。いわゆるプライドが高い人。後輩や店員など自分より立場が下と判断した相手に対してその傾向が顕著。
大人になってから自尊心を高めるには
この自尊心は、大人になってからも変化しています。
子供の頃は親や養育者から、大人になってからは大切な友達や上司・配偶者などから、そのときの立場に応じて影響力が強い存在によって高くなったり低くなったりするのです。
また、自尊心は大人になると自分で高めることができます。
子供時代に自尊心を傷つけられて育った人も、大人になれば『ひとりで生きていける力』を持つようになるでしょう。無力な子供時代とは違い、親の顔色を気にしなくても食べ物を手に入れることができるのです。
まだまだ多くの女性が、世間のイエスやノーに従って生きています。
自分の価値を世間からの評価に依存している限り、自尊心を高めることは難しいもの。
今こそあなた自身と向き合って、「自分を好き」と迷いなく言える自信を取り戻しませんか?