メサイアコンプレックスという言葉をご存知でしょうか。
メサイアとはメシア(救世主)という意味で、メサイアコンプレックスとは『誰かを救うことで自己肯定感を満たそうとする人々』のことです。
これ実は、宗教関係者やカウンセラー、医療関係者、ボランティア活動をしている人などに多いとされていて、本当はその人自身がありのままの自分を認められていないのが特徴。
自分自身の存在価値を感じられないために、困っている人を助けることで「自分には価値がある」と思い込むのです。
もちろん困っている人を助けること自体は素晴らしいことです。
しかし、メサイアコンプレックスの人が他人を助けるのは、相手のためではなく自分が認められたいからなのです。
親切な行動の動機が『助けた相手に感謝されること』なので、相手から感謝されないと失望したり攻撃したりすることも…
メサイアコンプレックスの人は、感謝されることを求めていますから『困っている人』を必要とし、困っている人に自分の価値を依存します。
救う相手がいないと自分の価値を感じられないため、親切を押し売りしたり、わざと困りごとを作ったり、無意識に共依存の関係にもっていこうとします。
本当の優しさと一見見分けがつきにくいのですが、以下が見分け方のポイントになるかと思います。
●その人自身が幸せそうではない
●必要以上に献身的に親切にしてくる
●遠回しに感謝を期待されていると感じる
●親切を断ると不機嫌になったり脅してくる
●他の人ではなく、自分だけを頼るように仕向けてくる
●とてもいい人なのになぜかモヤモヤする
自分すら救えない人が、他人を本当の意味で救うことはできません。
以前どこかの記事にも書きましたが、自尊心の低い人は、より自尊心の低い相手から自尊心を奪おうとします。
それが表立って現れたのがパワハラやモラハラ、いじめ、DV、マウンティングをする人などですが、メサイアコンプレックスの人の場合には、『親切』という偽善の皮を被ってそれが行われるイメージです。
職業柄、カウンセラーやセラピスト志望の方にもメサイアコンプレックスを抱えている人は多いのが現状。
感覚のするどい方であれば「なんか違和感があるな…」と感じるかもしれません。
ただ、メサイアコンプレックスの人は献身的で(時には必要以上に!)親身になって相談に乗ってくれるので、頼りがいがあるように感じたり、「この人なら自分を救ってくれるかも…」と盲信してしまう人が多いのもまた事実なのです。
特にカウンセリングを利用しようとする人はすでに精神的に疲弊している状態。ただでさえ自尊心が低下していて判断力が鈍っているので、全面的に頼らせてくれるメサイアコンプレックスのカウンセラーはまさに救世主に見えてしまうのかもしれませんね。
でも残念ながら、メサイアコンプレックスのカウンセラーに当たったクライエントさんは共依存の関係に陥りやすく、結果的に本人の自尊心回復には繋がりません。
完璧な人はどこにもいませんが、状況を好転させるために受けるカウンセリングなのですから、クライエントに依存せずとも自分を肯定できているカウンセラーを選んで欲しいと思います。
Commenti