カサンドラ症候群からの回復
《 定型発達者の思考回路 》
相手が嫌がっている
だから
この行動はやめよう
《 ASDの人の思考回路 》
相手が嫌がっている
自分とは関係ない
この行動はやめよう
定型「嫌がる事をするなんて、私が嫌いなの?」
ASD「そうじゃない、自分はこれをしたいだけ」
定型「ちっとも歩み寄る努力をしてくれない…やっぱり私が歩み寄る価値のない人間だからなのかな…」
カサンドラ症候群の怖さは『自尊心を失うこと』
カサンドラの一番の問題は、自尊心が低くなってしまうことにあります。
私たちは一般的に、一番身近な人に『無関心』=情緒的にネグレクトな態度を取られると、自分に価値がないように感じ自尊心が低下します。
自尊心が低下すると、自分に自信がなくなって物事を悪いようにとらえてしまいがちに。低い自尊心がこれ以上傷つかないようにと敏感になるため、ストレスにも弱くなります。
カサンドラ側は、これがASDの脳の仕組みだとわかっていても、どこかで歩み寄れることを期待してしまう一方、そもそも「好きな相手だから歩み寄る努力をする」という感覚がないASDの人は一向に歩み寄ろうとしてくれません。
ASDは【共感能力の欠如・筋道立てて感情を扱う感覚の誤作動】なので、感情と行動はつながりません。しかし定型発達者は『感情と行動は繋がっている』ため「あの人が歩み寄ってくれないのは、やっぱり自分に問題があるんじゃないか?」と自尊心が低くなっているカサンドラ側は自分を責めることも多くなります。
ASDの人は(他人に興味がないので)ただ自分らしく振舞っているだけ。
自分の言動によって相手がどう思おうが、それは相手の問題であり、なぜ責められるのかが(定型発達者の思考回路で説明されても)わからないのですから、直しようがありません。
話し合いが成り立たない関係
さらにASDの人にとって感情をまじえた話はとても苦手なこと。
どうでもいい細部にこだわりすぎて本題に戻ってこられないといった問題も抱えています。
想像力の欠如という特性から例え話も通じないので、身も蓋もない返答ばかり(屁理屈を言ってるのではなく、本気でそう思っています)。
情緒的なネグレクトに加え、「歩み寄る努力をしてほしい」と伝えるための話し合いすら成り立たないことで、解決策は八方ふさがりに……
カサンドラ側は、自分の無力さにいっそう自尊心をすり減らし、孤独を深めてしまうのです。
< ASDの人のコミュニケーションの特徴 >
ASDの人のコミュニケーション
自分視点の話しかできない
「自分は~」
「自分は~」
定型発達者のコミュニケーション
相手の気持ちも考えつつ、
お互いにとってベストな選択を考える
「私はこう思うけどあなたはどう?」
「じゃあ間をとってこの案はどうかな?」
そんなことを言われたら私は悲しい…
それは君の問題でしょ?
傷つくような言い方はやめてほしいの
ぼくは君じゃないから何に傷つくかなんてわからないよ
もし自分がされたら嫌でしょう?
ぼくはそんな状況にはならないし、
実際そうなってみないとわからない
普通は嫌なものなのよ?だからやめて欲しいの
そもそも普通ってなに?君は普通なの?
今その話してるんじゃないんだけど…
ぼくは思ったことを言っちゃいけないの?
いやそうじゃなくて…
ふたりにとってベストな案を考えようよ…